【幼児教育は生き方に左右する】ジェームズ・J・ヘックマンから学ぶ

こんにちは、まねこです。
「○○から学ぶ」と題して、様々な分野から学べることをまとめています。
今回は、幼児教育に関する内容です。

【幼児教育は生き方に左右する】ジェームズ・J・ヘックマンから学ぶ

ジェームズ・J・ヘックマン教授をご存知でしょうか。
労働経済学・ミ­クロ計量経済学の専門で、2000年にノーベル経済学賞を受賞した人物です。

ジェームズ・J・ヘックマン教授とは

簡単に経歴をまとめます。

  • 1944年
    イリノイ州シカゴ出身(4歳上の姉がいる)

    12歳からケンタッキー州、14歳からオクラホマ州、高校はコロラド州レイクウッドで過ごし、コロラド大学に入学。

  • 1965年
    コロラド大学を卒業

    数学の学士号を取得。

  • 1968年
    プリンストン大学で経済学の修士号を取得
  • 1971年
    プリンストン大学で経済学の博士号を取得

    コロンビア大学の助教授。

  • 1973年
    シカゴ大学の准教授
  • 1977年
    シカゴ大学の教授
  • 1979年
    結婚

    2人の子供がいる。

  • 1980年
    ジョン・ベイツ・クラーク賞を受賞
  • 2000年
    ノーベル経済学賞を受賞

    のちも数々の経済学賞を受賞。

不平等や社会­階層移動、差別などに関わる社会の経済問題の理解と解決に大きな貢献した人物です。

経済学に留まらず、個人の成長などの研究を、脳科学をはじめとする様々な分野を横断的に研究されています。

幼児教育が人生を決定づける!?

ジェームズ・J・ヘックマン教授から、学べることは「質の高い幼児教育が人生を大きく変える」ということです。

小学校に入学する前の教育、つまり子供が5歳までにどのような学びをするかで、生活が大きく変わってしまうというのです。

日本のインタビューの中では「5歳までのしつけや環境が、人生を決める」と答えたことでも知られています。

『5歳までのしつけや環境が、人生を決める』

この根拠となる研究調査の概要を2つ紹介します。

根拠となる2つの研究調査

  • ペリー就学前プロジェクト
  • 期間:1962年~1967年
  • 場所:アメリカのミシガン州デトロイト近郊の貧困地域
  • 対象:ペリー小学校付属幼稚園の3~4歳123名
  • 内容:子供を2つのグループに分け、3~11歳,14,15,19,27,40歳にときに追跡調査を行う。

調査の内容は「質の高い幼児教育」を行う58人と、行わない65名に分け実施されました。

質の高い幼児教育」とは以下のような教育です。

  • 毎日午前中にプレスクールに通い少人数制で学ぶ
  • 毎週1回の教師による家庭訪問
  • 毎月保護者が対象のグループミーティング

子供の自発的な遊びを主として、アクティブラーニングが行われたことがポイントです。>>アクティブラーニング勉強法

また、家庭訪問やグループミーティングでは、学びについて保護者への情報提供の場が用意されていたことも特徴です。

幼児教育を行ったグループは、そうでないグループに比べて以下の結果が分かっています。

  • 高校を卒業した割合が1.4倍
  • 年間所得が2万ドル以上の割合が1.5倍
  • 子供を持った男性の割合が1.9倍
  • 生活保護を受けた割合が0.4倍

一部の抜粋ですが、その他にも犯罪率の低下なども分っており、対象者が40歳を過ぎても調査が行われました。

  • アベセダリアン・プロジェクト
  • 期間:1972~1977年に生まれた子の生後5年間
  • 場所:アメリカ・ノースカロライナ州
  • 対象:アフリカ系アメリカ人111人の乳幼児(平均,生後4.4ヶ月
  • 内容:子供を2つのグループに分け、3歳,4歳,5歳,6歳,8歳,12歳,15歳,21歳,30歳のときに追跡調査を行う。

調査内容は「質の高い幼児教育」を行う57人と、行わない54名に分け実施されました。

質の高い幼児教育」とは以下のような教育です。

  • 週に5日、1日6-8時間の保育を実施
  • 当時の最新理論に基づいた学習ゲーム
  • 言語活動に特化した知能ゲーム
  • 保護者面談を定期的に実施し家庭学習の進め方を指導

幼児教育を行ったグループは、そうでないグループに比べて以下の結果が分かっています。

  • 高校を・読解力・数理力・IQの割合が高い
  • 大学に入学する割合は2倍
  • 10代で親になる割合減少0.6倍
  • 4年生大学を卒業する割合が4倍
  • 公的扶助の利用する割合が0.5倍
  • 親になる年齢が2年遅くなる

などが分かっています。

2つの研究の中で行われた幼児教育の内容は、非認知スキルの向上に重きを置かれたものでした。

上に示した2つの研究の中で行われた幼児教育の内容は、非認知スキルの向上に重きを置かれたものでした。

ジェームズ・J・ヘックマンの『幼児教育の経済学』に詳細が書かれています。

認知スキルと非認知スキル

  • 認知スキル⇒IQテストや学力検査によって測定される能力

認知スキルは、例えば読み書き計算などの学力です。

  • 非認知スキル⇒テストでは測定しにくい能力

非認知スキルとは、学力ではなく人間の性格的なことや気質的なことで、以下9つに分類されます。

  • 自己認識(自分に対する自信がある、やり抜く力がある)
  • 意欲(やる気がある、意欲的である)
  • 忍耐力(忍耐強い、粘り強い、根気がある)
  • 自制心(意志力・精神力が強い、自制心がある)
  • メタ認知ストラテジー(理解度を把握する、自分の状況を把握する)
  • 社会的適正(リーダーシップがある、社会性がある)
  • 回復力と対処能力(すぐに立ち直る、うまく対応する)
  • 創造性(創造性に富む、工夫する)
  • 性格的な特性(神経質、外交的、好奇心が強い、協調性がある、誠実)

知識とか学力とかIQも大事ですが、幼児期は特に上の非認知スキルを高めることを重視した方がいいんですね。

では、具体的に非認知スキル高めるために、子供が取り組むことや親の役割などを紹介します。

  • 多くの選択肢を用意しておく

子供に与えるより、選択肢を用意する。

絵本、図鑑、積み木、パズル、折り紙など、見たり、聞いたり、触ったり五感を刺激するものがあれば、子供は自分で勝手に工夫し遊びます。創造力を養えます。

  • 習い事を利用する

やり切らせる内容は興味を示したものがいいですが、通信学習を利用する手もあります。

科学的な視点から幼児期に身につけておくべきスキルを学べる講座もあります。

  • 教え過ぎない

子供が手足を動かしながら、考え工夫しているときに、親があれこれ教え過ぎないことが大事です。

ついつい心配になり手取り足取り教えたくなりますが、見守りやり切らせることで自信につながります。

たとえ失敗してもすぐに答えを教えない。自ずと答えを探ろうとする姿勢を養えます。

  • 行動を褒める

絵を書いたり、片づけられたり、何かを達成したら褒める。出来たことより、出来るまでに試行錯誤した内容を具体的に褒める。


達成までに試行錯誤する姿勢を身につける意味があります。


一度や二度失敗したくらいで終わらず、何度もチャレンジする精神を養います。

  • 失敗したことを自覚させる

上手くいかないことがあったら、一緒に振り返えることです。

会話しながら、失敗を放置しないことで、自分の行動を客観視できるようにします。

  • 自然を体験

タブレット端末やスマホなどを利用した学びも、視聴覚を刺激しおススメです。ただし、一番は外に出て自然に接することです。

動植物をはじめとする自然界は刺激が多いうえ、ハイキングやキャンプなどでは忍耐強さも養えます。

では、今回は以上になります。

早期教育の批判を耳にします。確かに、知識に偏り過ぎる教育には反対です。しかし、2つの調査結果にもあるように、早くから非認知スキルを高める試みは、あってもいいのではないでしょうか。それでは(^^)/