こんにちは、勉強や受験などについてブログで書いています。
この内容は、中学受験を検討されている保護者の方を対象に書いています。
公立の小学校から私立中学へ進学する場合は「受験」が必要です。公立中高一貫校へ進学する場合もテストがありますが、厳密にいえば「受験」ではなく「適性検査」になります。
「受験」と「適性検査」の違いとは何でしょうか。
適性検査の内容を確認しながら、中高一貫校に行けるような対策を紹介します。
公立中高一貫校の適性検査を知る【中学受験】
公立の中高一貫校は、1999年学校教育法の改正より導入されました。中・高の6年間を一貫した教育プログラムで学べ、費用面でも全国で人気です。
詳しくは【子どもを育む】公立の中高一貫校が人気の理由に説明を記載しています。
入学希望者には全員受験できますが、当然公立の中高一貫校にも定員があり、希望者全員が入学できるわけではありません。
私立中学であれば、一般に国語・算数・理科・社会(英語を受験科目として扱う中学校もある)の学力試験を行い入学者が決定します。
しかし、公立の中高一貫校へ入学するには、いわゆる「学力試験」とは異なる点があることに注意する必要があります。
入学者選抜の方法【公立中高一貫校】
前置きとして、タイトルの「選抜」という言葉は、そもそもあまり使われていません。「入学予定者の決定」とし、原則「学力検査」は行わないとしています。
これは、「学力検査」で入学を規制することによって生まれる格差をなくし、学校選択の機会を平等に与えるためです。(ここでは解説するうえで、「選抜」という言葉を使って説明しますm(_ _)m)
では、公立中高一貫校の入学者選抜の方法ですが、
「いくつかの要素」は各学校によって細かい違いはありますが、以下のようになります。
- 小学校が作成する調査書
- 適性検査
- 作文
- 面接
- 実技
- 抽選
- 学校独自の検査(独自の問題)など
これらから、志願者の意欲・目的意識・適性などが判断されます。
出席状況、観点別評価などが記載されたものですが、ウエイトは大きくありません(学校によりけり)。評価は高い方がいいですので、学校の全科目の通知表成績はとっておくべきです。
ただし、長期欠席・遅刻多数、問題行動があれば影響します。個別の面接で質問される可能性もありますので、説明する準備は必要です。
最重要です。長くなりますので後程。
個別面接、集団面接、グループディスカッションなど学校によって形式は違います。適性検査に重きを置いて、面接のための継続的な特訓は必要ないと考えて良いです。
自分で考えて、自分の考えを表現する力は、日ごろの家族の会話で養われます。
家庭でできる3つの面接対策を紹介します。
1,テレビや新聞で話題になっていることの意見を尋ねる
⇒ある事柄に対して子どもに考えさせる癖をつけ
⇒自分の意見を持たせる
⇒子どもの意見を聞いいてあげ、言葉で表現させる
※子どもの意見を闇雲に否定せず傾聴を続けることで、自ら主体的に考え意見を持つようになります。
2,今日学校で起きた出来事を尋ねる
⇒起きた出来事を客観的に捉え説明させる
⇒自分の感情を言葉に変換できるように促す
※自分本位な見方は指摘し、第三者の立場で、ものを言えるよう促すと徐々に説明上手になります。
3,読書をしたら内容を説明させ、自分の意見を尋ねる
⇒要約し説明することで文脈を読み解く力をつける
⇒読み解いたことから自分の独自の考えを持たせる
※本に書いてあることをただ説明させるのではなく、読んだことで自分の中に生まれた感情や考えを引き出す練習です。
実施している学校は少ないです。
中には特別枠として、国語・算数・英語いずれかで卓越した能力を持つ人、囲碁・将棋などで卓越した能力を持つ人など、実技を通して合格する場合もあります。
「抽選→適性検査→選抜者からさらに抽選」「適性検査→選抜者から抽選」など抽選を設ける学校もあります。運ですので、どうしようもありませんね(-_-;)
公立中高一貫校の適性問題は、都道府県や市町村が作成します。
その適正検査に加えて学校独自の問題が出される学校もあります。
内容は学校によりますが、いわゆる私立受験型の形式の問題になっていることもあります。科目も算数のみであったり、教科横断型であったり、様々です。
適正検査に次いで、独自の問題に比重が置かれているケースが多々見られます。配点が高いということです。
「いくつかの要素」から総合的に判断というものの、現状はどうでしょうか。
入学者選抜の現状【公立中高一貫校】
総合的に判断というものの、結局のところ、適性検査の配点が最も高いです。次いで独自問題。
適性検査の内容・対策は後程扱います。
簡単に言うと、「知識はあって当たり前、知識を活用し、自分の考えを表現できるか」どうかがポイントになります。
結局、私立受験のベースとなる知識を身につける訓練は必要であると考えています。
あくまで適性をみる検査ですが、現状は私立の中学受験と大差のない問題も多く出題されています。
先ほども述べましたが、独自問題となると顕著に私立受験型の問題になる学校もあります。
「面接をやる意味ある?」と思ってしまうほどあっさりと終わる学校もあります。
公立中高一貫校は人気があり、受験者も多く、およそ500人の受験者を1日で面接をしなければならない、試験の運営上の問題が関係していると考えます。
面接の質問内容も、2年連続まったく同じ内容が聞かれる場合もあります。「形式上」と言わざるを得ません。
といった現状から、公立中高一貫校に入学を希望するのであれば、適性検査の内容を知り、適正検査に比重を置いて対策をすべきです。
適性検査の内容と対策【私立中受験との違い】
ここまで長くなりましたが、私立受験と比較した適性検査の内容と対策を解説します。
検査で問われる適性とは【3つの力】
入学者としての適性で問われる能力を3つにまとめます。ズバリ
これらを兼ね備えているかどうか検査されます。
ポイントは、単に知識が豊富で物知りで、受験テクニックがあるだけでは検査はパスできないという点です。
読み・書き・計算に加えて、知識を応用、資料を分析、工夫して考え整理し、人に明確に伝えられるかどうかです。
次の内容は要注意です。私立中受験の対策では不十分です。
適性検査の内容【私立中受験との違い】
公立中高一貫校の適性検査は、主に「適性検査Ⅰ」「適性検査Ⅱ」「適性検査Ⅲ」があり、適性検査Ⅲの代わりに、学校独自の問題を差し込んだり、作文を差し込んだりと学校によって変わります。
ポイントを挙げていきます。
例えば、「適性検査Ⅰ」の社会の地図の問題の中に、移動時間を求める算数の考えが必要になったり、農業の生産量の問題と割合の計算が必要になったりします。
つまり、国語、算数、社会、理科と完全に科目別な出題はなく、1つの科目の知識や考え方を他の科目で活用できる能力が求められます。
「国語だけ」「理科だけ」など科目にとらわれた勉強だけではまずパスできません。
また、「国語と社会」「理科と算数」を混ぜた合教科型の出題も目立ちます。自分でどの知識を使うのか状況判断が必要になります。
表、グラフ(円・帯・棒・折れ線など)、イラスト、写真、統計データなどの資料は頻出です。
これらの資料を読み取り、設問に答える形式です。1つの資料だけなら簡単ですが、多くの場合、いくつもの資料から複合的に分析し、根拠を考え、推論する能力が問われる問題が出題されます。
例えば、先生と生徒が二人の長い会話文が示され、その会話文から問題が進展していく形式も多くあります。
会話文に空欄があり前後の文脈から判断して空欄を埋める問題、会話の中で話していることの理由や根拠を答える問題、会話文と資料を見比べて計算で値を求める問題と多岐にわたります。
資料の量に加え、文章の量は大人が読んでも大変な量が出題される傾向もあります。
読書習慣は必須です。さらに、速く読み解く力も必要です。
理由や原理、説明、意見などを記述する問題も適性検査の特徴です。
文字数は100文字を超える問題もあり、論理的に文章を書く訓練が必要です。当然、誤字脱字、漢字で書けないなどということは減点対象です。
読む量、書く量が膨大になることで時間に追われます。
算数において私立中学のような難易度の高い特殊算は、出題されにくいです。
一方で、規則を読み取り一般論を導いたり、条件を整理して推論する問題、統計といった問題に重点が置かれます。
算数の公式・法則・きまりを使いこなすことより、「なぜ公式が成り立つのか」を説明する問題が出題されます。
正解が1つに決まらない問題が出題されるのも特徴です。
環境問題、食糧問題、人口問題、水問題などの社会問題に普段から接しておく必要があります。
正解が決まっていない問題の代表例に作文があります。
作文の書き方の練習は必須です。
実施されない学校も多いですが、耳から問題を聞き取り判断を要する問題も出題される学校もあります。
これらの内容を踏まえて、公立中高一貫校の適正検査をパスための対策を示していきます。
適性検査の対策・対応
私立受験を目指し、塾に通っている子どもに多いのが、学校の授業をないがしろにする子どもです。さらに、ないがしろにする保護者です。
「もう知っているから」「もう出来るから」と言って投げ捨てる前に、適正検査の特徴の1つ「出題範囲」を確認します。
私立中受験で必要とされる、膨大な知識量、算数の公式や特殊算はいりません。
つまり、小学校の範囲の内容を極めれば良いのです。
こだわってほしいのは、原理・原則・根本の理解です。
学校の授業で目の前の問題が解けるかどうかだけでなはなく、例えば、
国語であれば漢字の語源まで理解し、
算数であれば公式・ルール・原則を説明でき、
理科であれば現象の原因を追い求め、
社会であれば資料から自分なりの考察を考える。
学校でも”探求”し続けるということです(^_^)
自分の体験や考え、意見を問われたときに、答える内容は普段の生活が元になります。
- 読書+要約文+自分の考え
- テレビ・新聞の社会問題をチェック+自分の意見を持つ
- 科学に興味を持つ+自分で試す(実験・検証)+考察
- 保護者から発問⇒ 「家庭でできる3つの面接対策 」※上記参照
- 友人同士の会話⇒相手に分かるように積極的に言葉を発する
- 「なぜ?」を放置しない⇒考え調べる癖
普段の過ごし方を少しの工夫を続けることで、何となく過ぎ去ってしまう当たり前のことを深く考えるようになり、結果的に適正検査の対策になります。
実際の問題に触れることが一番手っ取り早いです。
市販のテキストでも対策できますが、子どもの学力水準、目指す学校によって、使用する教材は慎重になった方が良いです。
”ムダ”ということはないですが、独学の怖いところは、効率の悪さです。プロのアドバイスを聞くことが一番です。
特に地域に長くある塾で、中高一貫校に対応できる塾を頼るのが良いでしょう。
学校によって問題は異なります。
- 作文の有無
- リスニング問題の有無
- 記述の問題数と文字数
- 資料の多さ
- 適性検査Ⅰ・Ⅱ・Ⅲの問題構成
- 独自問題の傾向
- 捨て問題の有無、解く順番と時間配分
など、学校によって重点を置くことや優先順位を明らかにして準備すれば、試験を通る可能性も高まります。
倍率も難易度も高い適性検査だからこそ傾向を知る必要があります。まずは去年の実際の問題を解くことをおすすめします。
漢字・語彙・計算は絶対必要です。
無いと太刀打ちできません。思考力・判断力・表現力が求められますが、基礎学力がなければ、思考も判断も表現もできません( ゚Д゚)
やはり、私立受験の勉強をしている人は有利と言えます。かつ、適性検査の対策をする子は強いです。
去年の適性検査の問題を解いてみて、まったく解けないようであれば、まずは基礎知識の不足かもしれません。
思考力・判断力・表現力の前に最低限の知識を頭に入れるべきです。
速読は独学は難しいと感じます。速読に関する誤解もありますが、専門の速読トレーニングを重ねれば、内容を理解しながら速く読めます。
大量の文章・資料を正確に速く読解する力があれば、適性検査は有利に働きます。
今回は公立中高一貫校の適性検査についてでした。
私立中受験と比べた特徴と対策について書きましたが、学校により傾向は異なります。
繰り返しになりますが、まずは昨年の実際の問題を取り寄せ解いてください。そこから始まります。
2020年大学入試改革の影響で、思考力・判断力・表現力が必要とされる問題形式は、私立中にも広がりを見せています。
暗記に偏った勉強だけでは、大学入試を乗り越えられず、何より生きるために必要としません。
知識があり知識を使いこなせる人間は、適性検査だけでなく、将来の実社会でも必要とされるでしょう。