【日本語が苦手な中学生】入試前の対応策は?【帰国子女・ハーフ】

こんにちは、「学ぶことは真似ることから」まねこです。

グローバル化が進展し海外旅行は当たり前になっています。日本を訪れる外国人観光客も数多くいます。

それだけでなく「生活拠点を海外に移す人」や「外国から日本で生活する人」など国をと問わず移動も容易になり、ライフスタイルも多様化しています。

様々な生まれ育った場所や様々なルーツを持つ子供の中には、日本語が苦手な子供も増えてきています。

今回は日本語が苦手が子供が、高校入試を迎えるにあたって準備できることを紹介します。

【日本語が苦手な中学生】入試前の対応策は?【帰国子女・ハーフ】

タイトルに”ハーフ”という言葉を使いましたが、”ミックス”、”ダブル”、”クウォーター”、”アメラジアン”、”パート”など表現方法は様々です。ルーツや出生地などでひとくくりに表現すべきでないかもしれません。

2019年6月米プロバスケットボールNBAのドラフト会議の前の記者会見で、当時ゴンザガ大学の八村塁選手の「僕は『ブラッカニーズ』。ブラックとジャパニーズで。」と答えたことも話題になりました。

ベナン出身の父と日本人の母をもつ八村選手以外でも、スポーツ界や芸能界などで、日本以外にルーツのある方が活躍されています。

  • 大坂なおみ選手(テニス)
  • サニブラウン・アブデル・ハキーム選手(陸上)
  • 鈴木武蔵選手(サッカー)
  • ベイカー茉秋選手(柔道)
  • 高安関(相撲)
  • 布袋寅泰さん(ミュージシャン)
  • 国山ハセンさん(アナウンサー)
  • ELLYさん(三代目 J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBE)
  • ローラさん(モデル)
  • 宮沢りえさん(女優)
  • 池田エライザさん(女優・モデル)
  • 中条あやみさん(ファッションモデル)

スポーツ界や芸能界だけでなく、一般に国際結婚も広まっており、日本だけがルーツでない人が身近にもいるのではないでしょうか。

厚生労働省の人口動態統計において、2017年に生まれた子は94万6065人、うち父母どちらかが外国人の子は1万8134人約2%でした。

父母どちらかが外国人である場合に限らず、帰国子女、日本に移住してきた外国人、など様々な事情で、日本語が苦手な子供は全国にいます。

日本語の指導が必要な児童や生徒

2019年9月に文部科学省が公表した「日本語の指導が必要な児童や生徒」に関する調査というものがあります。

  • 外国籍の日本語指導が必要な子供が急増、4万人を越える

下記のグラフから、日本語の指導を必要とする外国籍の子供は、平成30年度に急速に増えていることが分かります。

出典;「日本語指導が必要な児童生徒の受入状況等に関する調査(平成30年度)」の結果について
  • 日本国籍の日本語指導が必要な子供は増え続けている

下記のグラフから毎年、日本語の指導が必要な子供は増え続けていることも分かります。

出典;「日本語指導が必要な児童生徒の受入状況等に関する調査(平成30年度)」の結果について

また、下記の2つのグラフは、都道府県別の人数です。

  • 日本語指導が必要な子供は愛知県が最多
  • 日本語指導が必要な子供は関東地方・中部地方に多い
出典;「日本語指導が必要な児童生徒の受入状況等に関する調査(平成30年度)」の結果について
出典;「日本語指導が必要な児童生徒の受入状況等に関する調査(平成30年度)」の結果について

関東地方・中部地方に限らず、全国に日本語が苦手な子供がいることが分かります。

では、こういった子供達が高校入試を受験するためにどのような準備をすれば良いのでしょうか。注意点や対策を考えていきます。

【日本語が苦手な中学生】入試前の対応策は?

公立の高校入試の制度は各都道府県によって異なります。中には日本語が苦手な子供への対応が示されていることもあります。

ですが、まず第一に個人で日本語の訓練が必要と考えます。

  • 日本語能力試験の活用

JLPT(Japanese Language Proficiency Test)とも呼ばれています。日本語を母語としない人を対象に日本語能力を認定する検定試験です。

  • 世界86カ国・地域で実施(2018年)
  • 7月上旬・12上旬の年2回実施
  • 日本語を母語としない人を対象として試験で最多の受験者数(年間のべ約101万人が受験)
  • 原則として日本語を母語としない人であれば誰でも受験可
  • 受験に日本国籍の有無は問わない
  • 5段階レベルに分けられる(N1,N2,N3,N4,N5)

レベルの認定の目安は下の表のようになり、最もN1が難易度が高くなります。

レベル認定の目安
N1幅広い場面で使われる日本語を理解することができる。
N2日常的な場面で使われる日本語の理解に加え、より幅広い場面で使われる日本語をある程度理解することができる。
N3日常的な場面で使われる日本語をある程度理解することができる。
N4基本的な日本語を理解することができる。
N5基本的な日本語をある程度理解することができる。

問題の構成は、言語知識を問う問題、読解聴解(リスニング)の問題です。レベルによって試験時間と得点配分、問題構成、合格点が異なり、下記のようになります。

レベル言語知識読解聴解合計
N1読解と合わせて110分
60点
※左記
60点
60分
60点
170分(2時間50分)
180点(合格点100点)
N2読解と合わせて105分
60点
※左記
60点
50分
60点
155分(2時間35分)
180点(合格点90点)
N330分
60点
70分
60点
40分
60点
140分(2時間20分)
180点(合格点95点)
レベル言語知識読解聴解合計
N430分
読解と合わせて120点
60分
※左記
35分
60点
125分(2時間5分)
180点(合格点90点)
N525分
読解と合わせて120点
50分
※左記
30分
60点
105分(1時間45分)
180点(合格点80点)

※合格点は定められていますが、言語知識、読解、聴解それぞれで基準点を以上を取る必要があります(60点中19点以上、120点中38点以上)。

このテストに向けて対策することで、基本的な日本語の訓練が可能です。試験を運営している国際交流基金と日本国際教育支援協会から公式の問題集も用意されています。※以下のページはRakutenブックスです。

この日本語能力試験だけでなく、日本語の訓練として様々な試験を活用してはどうでしょうか。

また、日本語能力試験などは、個人の外国語レベルを表すCEFRセファールに対応するとされています。

CEFRは6段階でレベル分けされる、語学のコミュニケーションスキルを示す国際標準規格です。

日本では、主に英語の学習で耳することが多く、詳しくはこちららをご覧下さい。>【英語力はどのくらい?】CEFRを学ぶ【勉強の成果を測る】

上記のいくつかの日本語の試験と、目安として英検のレベルをまとめると以下のようになります。

CEFR日本語能力試験TOPJJ.TEST英検の目安
C2上級AA級
C1N1上級C~上級B準B級1級
B2N2中級B~中級AC級準1~2級
B1N3中級CD級2~準2級
A2N4初級A-4E級準2~3級
A1N5初級A-5F級

他の生徒の保持する英検の級と比較することで、資格を取得したときに自信を持てます。

自信を持てば、日本語に対して苦手意識も減り、ますます語学の勉強に打ち込めるのではないでしょうか。

また、漢字検定を利用することもおすすめです。

  • 漢字検定の活用

漢字検定は、日本語能力試験よりも認知度が高く、受験もしやすい試験と言えます。

漢検の内容は以下で取り扱っていますので、参考にしてください。

レベル分けも明確で、公立の小学校や中学校ともリンクしています。中学校在学レベルは4級ですが、小学生レベルから試験勉強することもありです(^_^)漢検を活用する利点は以下の内容が挙げられます。

  • 小学校レベルから受験することで基礎固めができる

例えば「17歳の高校生が、小学校3年生レベルは勉強したことがあれば8級から挑戦してみる」など、学年や年齢にとらわれず、能力に合わせた受験が可能です。

  • 漢検は漢字の読み書き以外も身につく

漢検を通して学べることは、熟語、対義語、送り仮名、部首名、、、など多岐に渡ります。

単に、漢字が書ける読めるだけでないのです。言葉の意味を知らない人には、語彙力をつけられるためおすすめです。

  • 入試の対策になる

取得した級は、自分の頑張った成果を示すものでもあります。特に高校入試の推薦では評価の対象にもなり、スコア化されることが多いです。

公立高校の入試おいて、漢字の読み書きが出題されない試験はまずありません。漢検合格に向けて練習することは、入試の直接的な勉強をしていることになります。文章問題で、知らない漢字が少なければ、読解もしやすいです。

  • 学校と相談し学習支援をしてもらう

日本語の指導が必要な子供に対して、学校も対策を講じてくれます。

文部科学省は『海外子女教育、帰国・外国人児童生徒教育等に関するホームページ』にもあるように、日本語が苦手な子供に対しては、特別な教育課程を認めています。

日本語の能力に応じて、別教室などで特別指導を行うなどの対応が可能になっています。

出典;文部科学省/CLARINETより
出典;文部科学省/CLARINETより

具体例を挙げると、中学校レベルの英語を既に習得している生徒は、英語の授業を受けずに、別室で日本語の勉強を指導してもらえます。

個人的な経験でいうと、英語の授業は参加せず国語の勉強をするケース。ただ、実施に生徒が困っているのは、理科と社会であることが多いです。

「これ何て読むの?」「何が書いてあるかさっぱり(+_+)」「用語の意味がわけわからん。。。」など。

あくまで個人の日本語の習得度合いによりますが、日本語の勉強をやっている分、ある程度”国語”は大丈夫。一方で、聞いたことのない用語が並ぶ”理科・社会”は手も足も出ない。こういったケースがよく見られます。

個人の能力に応じて、別教室で対応してもらえる場合、理科・社会の教材を利用して勉強することも良いではないでしょうか。

また、各都道府県の教育委員会などに、日本語指導のアドバイザーなどの対応も行われています。

出典;文部科学省/CLARINETより
出典;文部科学省/CLARINETより

  • 学校の定期テストで配慮してもらう

学校によっては、定期テスト(定期考査)の理科と社会で配慮してくれる学校もあります

具体的には、問題文に全て”ルビ(ふりがな)”をふってくれる対応です。ルビをふったからといって、成績が落ちるわけではありません。

国語では認められないことが多く(当然ですが、、、)数学でも対応してもらえることもあります。

※学校の先生は多忙。。。
テストに”ルビ”をふる作業は
学校の先生にとって大変です(^^;)
様々な業務や生徒対応があるので、
必要なときは、直接事前にアポをとって
面談などで依頼するといいですね(._.)

  • 高校入試における『配慮願い書』の提出

各都道府県によっては、『配慮願い書』のようなものが存在します。

特別な事情がある生徒に対して、入試で配慮してもらうためのものです。障害をもつ場合に提出されるケースがありますが、日本語が苦手な子供にも適応できる場合があります。

具体的には、先ほどと同様に、”理科・社会”に限って総”ルビ”対応です。全て”ふりがな”がふられた状態で入試が受けられるケースもあります。各都道府県によって正式に認定されれば、対応してもらえます。

また、面接などの質疑でスムーズにいかない場合も配慮してもらえるケースもあります。

では、今回は以上になります。

日本語が苦手な生徒は、検定試験を活用するなどの個人による努力も必要です。が、それだけでは解決できないこともあります。学校と保護者が協力して、子供が意欲的に学べる方策を探りやってみることが必要です。子供が努力できる環境づくりと子供自身の努力で、少しずつでも語学は向上します。それでは(^^)/