今回は、GTEC(ジーテック)の紹介です。
英語を学ぶうえで、1つの目標として検定を利用されている方や受検を考えている方、入試への活用を考えている方などに参考になれば幸いです。
昨今、英語によるコミュニケーション能力(特に話す・書くといった発信力)が課題となっており、英語教育の抜本的な改革が進められています。
英語の4技能の強化が急務となっています。
※英語教育の英語4技能とは⇒LSRW Listening(聞く) Speaking(話す) Reading(読む) Writing(書く)
大学入試でも4技能の総合的な能力の評価が必要とされ、
民間の資格・検定試験を活用がされることになっています。
2019年の時点で、活用される民間の資格検定試験「認定試験」は以下の7つです。
・英検(実用英語技能検定) ・TOEIC(トーイック) ・GTEC(ジーテック) ・TOEFL(トーフル) ・IELTS(アイエルツ) ・TEAP(ティープ) ・ケンブリッジ英語検定
これらの検定は、統一して、国際的な外国語の評価基準「CEFR」でA1~C2の6段階で評価されます。
概要と特徴【GTEC】
実施団体
日本の企業であるベネッセコーポレーションによって実施されています。
テスト自体は、1997年にアメリカのベルリッツコーポレーションとの共同で開発されました。
ベルリッツコーポレーションは、ドイツ出身の言語学者マキシミリアン・ベルリッツによって、1878年に設立されたアメリカの語学教育企業です。
もともとロードアイランド州プロビデンスに開設、その後ボストン、ニューヨーク、ニュージャージなどに教室を開設、ヨーロッパやアフリカなどにも広がりました。
2001年日本のベネッセの完全子会社となり、現在世界70か国以上でスクールを展開しています。
概要
GTEC(Global Test of English Communication)は、かつて「Reading読む」だけの1技能テストから、「4技能を使いこなす」英語力を測定するテストとして、1998年より運用されています。
日本の中高生に適した内容として、中高生向けスコア型英語テストで最大の受検規模と言われています。
英検のように級は設定されいませんが、年齢と目的により種類が異なり、さらにレベルに応じて細分化もされています。
- 中学・高校向け+大学入試へ活用
- 大学・社会人向け+留学・就職・グローバルコミュニケーション
- 小学・中1向け+英語への興味・関心・表現を楽しく測定
学年レベルに応じて4つのタイプに細分化されたテストを受験することになります。
それぞれで上限スコアが設定されています。
タイプ | 学年レベル | 上限スコア | 実施時間 |
CBT | 高2~高3 | 1400点 | 約175分 |
Advanced | 高1~高3 | 1280点 | 約120分 |
Basic | 中3~高2 | 1080点 | 約120分 |
Core | 中2~中3 | 840点 | 約102分 |
GTEC Academic(大学生向け)とGTEC Business(社会人向け)に分けられます。
4技能試験の実施時間は80分程度です。上限スコアはいずれも1000点となっています。
また、結果受検後10日で確認も可能です。
さらに、4技能だけでなく2技能のみ試験(Listening,+Reading、Listening+Speaking)も実施されています。
英語の習熟度により、さらに3つのレベルに細分化されます。
それぞれで上限スコアが設定されています。
学年レベル | 学年レベル | 上限スコア | 実施時間 |
Junior Plus | 中1 | 560点 | 約95分 |
Junior2 | 小6 | 480点 | 約90分 |
Junior1 | 小4 | 400点 | 約85分 |
試験の詳細【GTEC】
試験内容・問題数
4つのタイプによって問題数と時間が異なります。
技能 | 各パートの出題内容 | 問題数 | 時間 |
Listening | A:写真説明 B:会話応答 C:課題解決 D:要点理解 | 8問 8問 8問 8問 | 4分 4分 5分 5分 |
Speaking | A:音読 B:質問に応答 C:ストーリーを話す D: 意見を述べる | 2問 4問 1問 1問 | 25分 |
Reading | A:短文理解 B:情報検索・概要把握 C:要点理解 | 10問 10問 8問 | 5分 12分 15分 |
Writing | A:Eメール B:意見展開 | 1問 1問 | 5分 20分 |
計 | – | 70問 | 100分 |
技能 | 各パートの出題内容 | 問題数 | 時間 |
Listening | A:写真説明 B:会話応答 C:課題解決 D:要点理科 | 10問 10問 10問 10問 | 6分 5分 8分 6分 |
Speaking | A:音読 B:質問に応答 C:ストーリーを話す D: 意見を述べる | 2問 4問 1問 1問 | 25分 |
Reading | A:短文理解 B:情報検索・概要把握 C:要点理解 | 12問 12問 12問 | 6分 14分 25分 |
Writing | A:Eメール B:意見展開 | 1問 1問 | 5分 20分 |
計 | – | 86問 | 120分 |
技能 | 各パートの出題内容 | 問題数 | 時間 |
Listening | A:写真説明 B:会話応答 C:課題解決 D:要点理科 | 10問 10問 10問 10問 | 6分 5分 8分 6分 |
Speaking | A:音読 B:質問に応答 C:ストーリーを話す D: 意見を述べる | 2問 4問 1問 1問 | 25分 |
Reading | A:短文理解 B:情報検索・概要把握 C:要点理解 | 14問 14問 15問 | 7分 14分 24分 |
Writing | A:Eメール B:意見展開 | 1問 1問 | 5分 20分 |
計 | – | 93問 | 120分 |
技能 | 各パートの出題内容 | 問題数 | 時間 |
Listening | 大学での講義や生活場面 | 約40問 | 約35分 |
Speaking | 1:会話応答 2:情報伝達 3:意見展開 | 6問 3問 3問 | 2分 6分 12分 |
Reading | 大学での講義や生活場面 | 約40問 | 約55分 |
Writing | 1:質問用紙記入 2:Eメール作成 3:意見展開 | 4問 3問 2問 | 4分 21分 40分 |
計 | 約101問 | 約175分 |
実際のビジネスシーンや日常生活シーンなどを想定した問題です。
実践的な英語能力を客観的に評価できます。
技能 | 各パートの出題内容 | 問題数 | 時間 |
Listening | A:写真説明 B:会話応答 C:要点理解 | 7問 10問 10問 | 3分 4分 6分 |
Reading | A:語彙語法 B:速読・要点理解 C:長文理解 | 12問 7問 6問 | 8分 7分 9分 |
Writing | A:短文・メモ B:中分・手紙 C:レポート作成 | 1問 1問 1問 | 4分 8分 14分 |
Speaking | A:リズム・イントネーション B:会話シチュエーション C:ストーリーテリング D:プレゼンテーション | 1問 3問 1問 1問 | 45秒 2分30秒 3分 5分 |
計 | – | 約61問 | 約75分 |
3つのタイプによって問題数と時間が異なります。
また、短い休憩をはさみながら実施することが出来ます。実施時間は目安の合計時間のみを掲載します。※問題回収等の時間を除く
技能 | 各パートの出題内容 | 問題数 | 時間 |
Listening | 1:絵を表している語句 2:会話での質問 3:場面に応じたやりとり 4:まとまった英語の内容 | 10問 6問 5問 5問 | – |
Reading | 1:音を聞いて文字を読む 2:音を聞いて単語を読む 3:情報を読んで見つける 4:一文を読んで内容理解 | 6問 6問 4問 4問 | – |
Speaking | 1:音を聞いて読める 2:絵を見て質問に答える 3:自分のことを伝える | 4問 4問 3問 | – |
Writing | 1:音を聞いて文字が書ける 2:文字をうめて単語を完成 3:単語を書き写す | 6問 4問 2問 | – |
計 | – | 約69問 | 約85分 |
技能 | 各パートの出題内容 | 問題数 | 時間 |
Listening | 1:絵を表している語句 2:会話での質問 3:場面に応じたやりとり 4:まとまった英語の内容 | 10問 6問 5問 5問 | – |
Reading | 1:音を聞いて文字を読む 2:音を聞いて単語を読む 3:情報を読んで見つける 4:一文を読んで内容理解 | 6問 4問 4問 8問 | – |
Speaking | 1:音を聞いて読める 2:絵を見て質問に答える 3:自分のことを伝える | 4問 4問 3問 | – |
Writing | 1:音を聞いて文字が書ける 2:文字をうめて単語を完成 3:単語を書き写す 4:音声を聞いて単語が書ける | 4問 4問 3問 1問 | – |
計 | – | 約71問 | 約90分 |
技能 | 各パートの出題内容 | 問題数 | 時間 |
Listening | 1:絵を表している語句 2:会話での質問 3:場面に応じたやりとり 4:まとまった英語の内容 | 10問 6問 6問 6問 | – |
Reading | 1:語句の意味 2:語や分のルール 3:情報を読んで見つける 4:一文を読んで内容理解 | 4問 4問 5問 11問 | – |
Speaking | 1:文を声に出して読む 2:絵を見て質問に答える 3:絵を説明する 4:自分のことを伝える | 4問 4問 1問 2問 | – |
Writing | 1:絵を見て単語を書く 2:質問を読んで答え文を書く 3:自分のことを書く | 4問 4問 3問 1問 | – |
計 | – | 約75問 | 約95分 |
実施回数・場所・検定料
年3回実施の英検よりは多いですが、その他の検定と比べると少ないですね。
主に学校で受け付け、受検会場も学校となります。
また、学生は学校単位が基本となり、個人で申し込む場合はCBTタイプになります。
※CBTとは CBT(Computer Based Testing)とは試験をコンピュータ上で行うことです。
受検タイプによって受検料が変わりますので、自分のレベルに応じたテスト選択が必要です。
大半は1万円以内です。1万円を超える検定と比べると費用はおさえられます。
タイプ | 検定料 |
中学・高校生向け(CBT以外) | 6,900円程度 |
中学・高校生向け(CBT) | 9,900円 |
小学生・中1向け(Junior 1) | 4,180円 |
小学生・中1向け(Junior 2) | 4,180円 |
小学生・中1向け(Junior Plus) | 4,730円 |
大学生・社会人向け(Business 4技能)公開会場 | 14,520円 |
大学生・社会人向け(Business 2技能)公開会場 | 4,620円 |
大学生・社会人向け(Business 4技能)自宅受検 | 8,800円 |
大学生・社会人向け(Business 2技能)自宅受検 | 2,420円 |
大学生・社会人向け(Business 4技能)企業団体向け | 7,260円 |
大学生・社会人向け(Business Listenig+Reading)企業団体向け | 2,420円 |
大学生・社会人向け(Business Listenig+Speaking)企業団体向け | 4,840円 |
大学生・社会人向け(Academic 4技能) | 7,260円 |
大学生・社会人向け(Academic 2技能) | 2,420円 |
大学入試への活用【GTEC】
GTECを2019年度大学入試に利用した大学を紹介します。2020年度以降は認定試験の扱いは各大学によって対応が異なってきます。
大学 | 学部学科 | スコア | 内容 |
立命館大学 | 国際関係学部 IR方式 | 1150 1050 | 100点に換算 90点に換算 |
明治大学 | 国際日本学部 | 1160 | 満点に換算 |
青山学院大学 | 総合文化政策学部 総合文化政策学科 コミュニティ人間科学部 コミュニティ人間科学科 | 850 | 出願資格 |
中央大学 | 総合政策学部 国際情報学部 検定試験利用 | 1000 | 出願資格 |
学習院大学 | 国際社会学部 プラス試験 | 1400 | 満点に換算 |
九州大学 | 共創学部 | 1250 | 250点に換算 |
千葉大学 | 国際教養学部 | 1190 | 満点に換算 |
茨城大学 | 工学部 | 1010 | 100点に換算 |
宮崎大学 | 工学部 | 800 | 満点に換算 |
いくつか抜粋した大学は、あくまで2019年度入試です。
大学共通入学テストで民間試験の利用は大学によって変化していくことは間違いありません。
受験生は自分の志望大学の情報収集は欠かせません。
では、今回は以上になります。
GTECは英検やTEAPなどと同様に、日本の英語教育に照準を合わせたテストです。
日本の大学に進学を目指す高校生は、学校でGTECが実施されるか一度は確認してみてください。
IELTSやケンブリッジ英語検定は受験地や費用面で躊躇する人もいるでしょうが、GTECは比較的受験しやすいでしょう。ぜひチャレンジしてみてください(^O^)/