今回は、TOEFL(トーフル)の紹介です。
英語を学ぶうえで、1つの目標として検定を利用されている方や受検を考えている方、入試への活用を考えている方などに参考になれば幸いです。
昨今、英語によるコミュニケーション能力(特に話す・書くといった発信力)が課題となっており、英語教育の抜本的な改革が進められています。
英語の4技能の強化が急務となっています。
※英語教育の英語4技能とは⇒LSRW Listening(聞く) Speaking(話す) Reading(読む) Writing(書く)
大学入試でも4技能の総合的な能力の評価が必要とされ、
民間の資格・検定試験を活用がされることになっています。
2019年の時点で、活用される民間の資格検定試験「認定試験」は以下の7つです。
・英検(実用英語技能検定) ・TOEIC(トーイック) ・GTEC(ジーテック) ・TOEFL(トーフル) ・IELTS(アイエルツ) ・TEAP(ティープ) ・ケンブリッジ英語検定
これらの検定は、統一して、国際的な外国語の評価基準「CEFR」でA1~C2の6段階で評価されます。
概要と特徴【TOEFL】
実施団体
アメリカのNPOである教育サービス(ETS:Educational Testing Service)によって主催されています。
※NPOとは 「Nonprofit Organization」あるいは 「Not-for-Profit Organization」の略 非営利団体や社会貢献活動や慈善活動を行う団体
ETSはアメリカニュージャージー州マーサー群プリンストに本社のある、教育テストを実施する組織です。
1947年に設立、TOEFLの他にTOEICやSAT(全米大学入学共通試験)、GRE(大学院入学共通試験)を含む200以上のテストを開発する世界最大の非営利テスト開発機関です。
日本の場合、一般社団法人CIEE国際教育交換協議会が窓口になっています。
※CIEE Council on International Educational Exchangeの略 1947年にアメリカで創設、 国際交流プログラムを開発運営していて、 世界中で留学プログラムなどを開催している組織
概要
TOEFLはTest of English as a Foreign Languageの略で、外国語としての英語のテストです。
つまり、非英語圏の出身者のみを対象としているテストです。
世界130か国9000以上の期間が利用し、これまで少なくとも3000万人以上が受験しています。
アメリカやカナダの大学・大学院への留学では、入学審査基準の1つにTOEFLのスコアが求められます。
iBT(Internet-Based Testing)は会場で個別にネットでのテストになります。日本でのTOEFLはiBTのことをいうことが多いです。
ITP(Institutional Testing Programme)は、個人ではなく団体でマークシート形式のテストです。
大学・大学院などの実力測定やクラス分けで使用されています。
・東京大学 ・お茶の水大学 ・東京工業大学 ・一橋大学 など500以上の団体
PBT(Paper-based Test)はネットが使えない地域のみのペーパー版です。日本では基本iBTです。
8歳以上対象の初学者向け、CEFRのA1~B2のレベル。
11歳以上の生徒向け、CEFRのA1~B2のレベル。
TOEFLの紹介動画
2014年と少し前に公開された動画紹介です。2019年時点で改定されているものもあります。
試験とスコア【TOEFL】
TOEFLは英検のように級が設定されているわけではありません。
Reading,Listening,Speaking,Writingの4部構成で4技能に対応しており、約3時間の試験時間です。
セクション | スコア | レベル |
Reading | 0~30 | 24~30⇒上級 18~23⇒上中級 4~17⇒中級 0~3⇒初級 |
Listening | 0~30 | 22~30⇒上級 17~21⇒上中級 9~16⇒中級 0~8⇒初級 |
Speaking | 0~30 | 25~30⇒上級 20~24⇒上中級 16~19⇒中級 10~15⇒初級 0~9⇒基礎 |
Writing | 0~30 | 24~30⇒上級 17~23⇒上中級 13~16⇒中級 7~12⇒初級 0~6⇒基礎 |
総合 | 0~120 | – |
スコアは0~120の範囲でCEFRにも対応しています。以下の表に、目安として英検のレベルを右に記載しています。
TOEFLスコア | CEFR | 英検の目安 |
95~120 | C1 | 1級 |
72~94 | B2 | 1級準1級 |
42~ 71 | B1 | 準1級2級 |
CEFRの6段階のうち3段階のみになっており、6段階に対応するケンブリッジ英語検定や5段階に対応する英検と比べると、CEFRの中間レベルに限定的ということが分かります。
英語の知識量だけでなく、どれだけ英語を活用できるかということに焦点があてられた問題設計になっています。
実生活のコミュニケーション能力を測定するテストと言えます。
試験の詳細【TOEFL】
試験時間・問題数
セクション | 時間 | 問題数 | 内容 |
Reading | 54~72分 | 30~40問 | 学術的な長文、3~4つの文章(それぞれ700語ほど) |
Listening | 41~57分 | 28~39問 | 講義、授業の討論、会話など |
休憩 | 10分 | ||
Speaking | 17分 | 4問 | 身近な話題についての意見を述べる ReadingやListeninの内容について |
Writing | 50分 | 2問 | 意見や経験を記述する ReadingやListeninの内容について |
従来4時間ほどの試験時間でしたが、2019年8月より試験が改定され時間が短縮されています。
実施回数・場所・検定料
2019年度の下半期の例を以下に載せておきます。週末実施となっています。
為替レートにより変動しますが、だいたい25,000円程度です。他の検定と比べて高い(”_”)
テスト会場は、TOEFL iBTテスト予約センターのプロメトリック株式会社Webページで確認できます。
このサイトによると、2019年時点では、47都道府県の中で岩手と長野での実施会場は無いようですので注意が必要です。
英検と比べると、実施場所は限られ、検定料は高いです。ただし実施回数が多いことが良い点と言えるでしょう。
Listening・Speakingのアクセント
北米英語のアクセント以外に、その他の地域のネイティブスピーカーによる英語のアクセントが追加されていることに注意です。
イギリス、ニュージーランド、オーストラリアなどです。
TOEFL対策ツール【無料】
TOEFLは様々な対策ツールが利用できます。
例えば、誰でもTOEFL iBT Free Practice Testとして無料で模擬試験を受けることが出来ます。
英語のページですが、受検を検討されている場合は見るだけもいいかと思います。
その他にもありますので、良ければ以下を参考にしてください。
- TOEFL iBTテスト対策無料オンライン講座(英語のページ)
- TOEFL iBT Practice Sets(英語のページ)
ただし、本格的に受検を検討する場合は、有料の対策教材やスクールなどに通うなど、専門的な対策が必要になります。
留学のためのスコアを獲得を目指す場合は、自分への投資だと考え、出費には目をつむった方がよさそうです。
TOEICと比較して
TOEICは英語によるコミュニケーション能力全般を測るテストです。
一方TOEFLは留学に必要な英語力があるか測るテストです。
また、受検者で多く聞かれる意見としては、TOEICより難しいという意見です。
大学や大学院といった高度な教育を受けるための検定ということでしょう。
また、海外の大学に出願する目安のTOEFL iBTのスコアは以下のようになります。
- 大学⇒61以上
- 大学院⇒80以上
- MBAスクール⇒100以上
大学入試への活用【TOEFL】
留学の意味合いが強いTOEFLですが、大学入試にも活用されています。
2019年度の入試で活用されたものを少しだけ紹介します。
大学 | 学部学科 | スコア | 内容 |
埼玉大学 | 経済学部 国際プログラム枠 | 112 | センター試験に換算 |
千葉大学 | 国際教養学部 | 80 | 個別試験を満点換算 |
東京藝術大学 | 音楽学部 | 72 | センター試験を満点換算 |
福井大学 | 国際地域学部 | 100 | センター試験を満点換算 |
広島大学 | 全学部 | 72 | センター試験を満点換算 |
早稲田大学 | 国際教養学部 英語4技能の得点 15点満点 | 95~ 72~94 42~71 | 15点 10点 5点 |
学習院大学 | 国際社会科学部 プラス試験 150点満点 | 100 70 62 54 48 42 | 150点 140点 130点 120点 110点 100点 |
明治大学 | 国際日本学部 | 72 | 個別試験を満点換算 |
立命館大学 | 全学部 センター試験利用 | 72 | センター試験を満点換算 |
国立大学ではセンター試験を得点換算、私立大学では英語4技能評価として得点換算されるところがあります。
大学に入る前に1度挑戦してもよさそうです。
では、今回は以上になります。
受験料は他の試験と比べるとやや高いようです。
ただし、留学を検討している人は、ポピュラーな英検よりも重要度ははるかに高いです。
海外の大学で学びたい人は必ず受検すべきでしょう。では(^^)/