こんにちは、「学ぶことは真似ることから」のブログです。
OIST(オイスト)をご存知でしょうか。
今回は大学卒業後の学びについてです。大学卒業後は就職、大学院、起業、留学など様々な進路が考えられます。
大学で学んだことを、さらに深め、高度な研究へと発展させたい方は参考にしてください。
【日本で学べる最高峰】OISTを知る【勉強を極める】
OIST(オイスト)とは
OISTとは沖縄県の恩納村にある沖縄科学技術大学院大学のことです。
Okinawa Institute of Science and Technology Graduate Universityの頭文字をとったOISTは、5年一貫性の博士課程の大学院大学です。
学部を設置しない大学を大学院大学といいます。
「沖縄の振興と自立的発展」「世界の科学技術の発展」を目的として内閣が所管しています。
2005年に独立行政法人沖縄科学技術研究基盤整備機構法が成立、
2009年に沖縄科学技術大学院大学学園法が可決、
2011年に認可され学校法人沖縄科学技術大学院大学学園 が成立しました。
※理事長はノーベル賞受賞者 当時の理事長として創立に関わったのは、 生物学者のシドニー・ブレナー。 2002年ノーベル生理学・医学賞、 分子生物学の分野で多大な貢献を果たした人物。
学校の紹介動画【OIST】
沖縄特有の自然に囲まれた環境、恵まれた研究環境であることが分かります。
こんなところで自分の好きな研究が出来るなんて羨ましい限りです。
OISTの基本コンセプト
世界トップクラスの英知を結集し、世界最⾼⽔準の科学技術に関する研究及び教育を⾏う。
政府の規制に沿った柔軟な組織運営を⾏うほか、政府の資⾦提供のもと、⾃主性と運営の柔軟性を保持し、世界トップクラスの⼤学院⼤学を⽬指す。
教員と学⽣の半数以上を外国⼈とし、公⽤語は英語とする。
世界の、とりわけアジア・太平洋地域における科学者のネットワークの中⼼地として発展しながら、世界のトップクラスの⼤学や研究機関と連携して研究教育や共同研究を⾏う。
企業との共同研究や研究成果の産業化に取り組むことにより、企業の集積を促し、知的・産業クラスターを形成します。
OISTの特徴と魅力
7つの研究分野
- 物理学
- 化学
- 神経科学
- 海洋科学
- 環境・⽣態学
- 数学・計算科学
- 分⼦・細胞・発⽣⽣物学
2019年時点で60を超える研究ユニットがあり、博士課程の学生には、科学技術の異なる分野が交わる領域を探求することが奨励されています。
異なる分野を交わるように建物も特徴的です。
分野を超えた研究【アイディア・コラボが生まれやすい環境】
学部の枠を設けず枠を超えて研究を進めるため、研究者同士が交流できるような研究棟の設計になっています。
また、廊下の至る所にイスとテーブルがあり、ディスカッションが出来るようになっています。
さらに自然の地形を壊すことがないように、棟と棟がつり橋の廊下でつながっている構造になっています。
世界の研究機関の格付け上位に
1869年に発刊された学術雑誌Nature(ネイチャー)を聞いたことはあるでしょうか。
この雑誌などを取り扱うシュプリンガー・ネイチャー社は 「Nature Index2019 」を発表し、 質の高い論文発表の割合ランキングでOISTが世界10位となりました。
このランキングでは東京大学が40位、京都大学59位、名古屋大学93位、大阪大学99位となっています。
創設して数年でも世界レベルの研究が行われていることが分かります。
高い国際性【学生・教職員】
教員・スタッフ・博士課程の学生いずれも外国人が半数以上です。
日本人 | 外国人 | 計 | |
教員 | 26人 | 39人 | 65人 |
研究ユニットスタッフ | 195人 | 249人 | 444人 |
博士課程の学生 | 22人 | 143人 | 165人 |
2019年時点の日本人と外国人の構成ですが、日本人の学生は約13%と圧倒的に少ないです。
公用語も英語ですし、世界中の多様な考えや文化にも触れることもできます。
ちなみに・・・入学式は9月
OISTの秋の入学となっており9月に入学式がとり行われます。
国家予算
OISTは日本でも稀な学校法人です。国からの研究助成金を受けながら運営されています。
通常の私立学校では、法律に基づいて、教育や研究に関する経費の2分の1以内の補助が行われます。
一方でOISTは、沖縄科学技術大学院大学学園法に基づいて、内閣府が予算の範囲内で2分の1を超えて補助できるとされています。これによって、資金が得られ高度な研究も可能になっているとされています。
トップクラスの理事
- 学長兼理事長 ピーター・グルース氏(ゲッティンゲン大学名誉教授、元マックス・プランク学術振興協会会長)
- 副理事長兼首席副学長 ロバート・バックマン氏 (元米国国立衛生研究所・神経疾患・脳卒中研究所副所長)
- 理事会副議長 有馬朗人氏(元(財)日本科学技術振興財団会長、武蔵学園長、(元東京大学総長、元文部))
- カーティス・カラン氏 (プリンストン大学物理学ディスティングィッシュトプロフェッサー)
- ジェローム・フリードマン氏(マサチューセッツ工科大学教授、1990年ノーベル物理学賞受賞)
- セルジュ・アロシェ氏 (コレージュ・ド・フランス学長、2012年ノーベル物理学賞受賞)
など常勤と非常勤理事の方々は、様々な実績や貢献をされている人物ばかりです。
さらに学生へのサポート体制も整っています。
学生へのサポート
学生が学ぶうえで経済的な懸念を払拭するため、年間240万程度が支給されます。
しかも返還不要とは驚きです(>_<)
国際会議などへの出席、他大学へ行く場合なども支援があります。
キッチン・リビング付きの単身者用、ルームシェア用、家族用から選択できます。
コンビニ、ジム、研究棟も徒歩圏内です。ビートへは徒歩5分の立地です。
バスケ、水泳、テニス、サッカー、音楽、クライミング、ゲームなど学問以外にも様々な活動があります。
自転車や電気自動車の貸し出しており、買い物、通学のための専用バスも運行しています。
ちなみに・・・入学前の留学費用も負担してくれることも
英語が喋れない場合、大学側から入学前の留学を提案されることもあります。
大学を3月で卒業し9月の入学までの期間で留学し、スムーズに9月から学べるような配慮です。費用も負担してくれます。
OISTの今後の課題
学ぶ環境として至れり尽くせりな環境ですが、問題点も指摘されています。
外部資金の低さ
財務省より予算に関する改善を求められました。
受託研究費などの外部資金の割合は2017年度で6%と、著しく低いと指摘を受けました。
国の補助金に依存するのではなく、外部資金を獲得することが今後の課題となっています。
内部事情
2019年3月に地元新聞にパワハラ被害に関する報道がされました。
この報道によると、匿名のインターネット上の意識調査で「自身がパワハラの被害にあった」が55%、「被害にあった人を知っている」が85%であったとのことです。
現役・元の教員・学生78名の回答で判明したそうです。
また、「自分の身分を心配せずに意見を述べる仕組みがあるか」との質問に90%が「いいえ」と回答。
これには、調査のサンプル数が少ないとも思いますが・・・
OISTはワークショップやインターンシップなどの参加プログラムが豊富です。
一度参加して内部の空気に触れるというのもいいでしょう。
では、今回は以上になります。
ネームバリューだけで大学を選ばず、実際に大学に足を運んで触れることが必要です。時間も手間もかかりますが。
調べてみると名前も聞いたこともない大学が先進的な研究をしてる場合もあります。
学びたい分野を極めるための環境選びに参考にしてください。では(^^)/